戻る  ■ キスをしよう。

「ねえ、ガウリイ」
 すぐ傍で、小さく声がする。
 先ほどまで腕の中にいた少女。
「ん……?」
 ふわりとした栗色の髪を撫で、ガウリイがやさしく聞き返す。
「――もしかして、手加減してる?」
 寝転んだまま、リナはとなりに座るガウリイを見上げた。
 二人の関係がただの旅の連れでなくなってからしばらく。
 身体に触れてくる回数は増えているものの、ガウリイの態度はあんまり変わらなくて。
 ずっと、やさしく触れてくる。
 大切にされているのは解っているけれど。
 時々、少しだけもどかしい。
「そりゃあたしは、こーゆーの、あんまし知らないけど。
 でもキスまで手加減しなくてもへーきよ?」
 髪に触れたままの彼の指に自分の指を絡め、リナは言葉を続けた。
 けれど。
「……リナには、まだ無理だろ」
 彼から苦笑混じりに返ってきた言葉に、むっとする。
「そんなの。やってみなきゃわかんないじゃない?」
 言って、起き上がるリナ。
 ガウリイの横で、ぺたりと座り込む。
「わかるって。無理だよ、まだ」
 確かに少しは馴れてきた……と思うけれど。
 まだ彼女が受け止めるだけで精一杯なのはすぐ解る。
「いいから、もう寝ろよ、リナ」
「……わかった」
 なだめてくる彼に、呟いて。
「じゃあ、ガウリイの気が済むまで、キスして」
 挑むような、けれど拗ねたような瞳。顔を赤くしてリナが言う。
 多少面食らって、ガウリイは一瞬言葉を失った。
「ぜったい、へーきだから。
 ガウリイの気が済むまで、キスしていいよ」
 もう一度、ゆっくりと言い直す。
「…………」
 困ったように、ひとつ息を吐くガウリイ。
 やがて正面から、真っ直ぐにリナを見る。
「本気か?」
「うん」
「ホントに?」
「いいってばっ!」
「……リナのほうから言ったんだからな?」
 言いつつ、ガウリイの右手がリナの頬に触れる。
 びく、と軽くリナの身体が震えて。
 視線を合わせたまま、ガウリイの顔が近付く。
「……瞳」
「え?」
「閉じろ」
「……う、ん」
 唇が重なる手前の位置で低く言われて、リナは言われたままに瞳を閉じる。
 同時に、軽く唇が触れて。
 一度離れて、また重なって、今度は強く押し付けられる。
「……ん、……ん……っ」
 思わず両手で彼の羽織るシャツを握り締めると、口付けたまま、ガウリイがリナの手に触れた。
 彼の手に導かれるままに、リナはガウリイの首へと両腕をまわした。
 柔らかな金の髪。ガウリイの頭を両手で抱え込んで。
「……っは、ふ……っ」
 息苦しくて、リナは思わず彼から唇を離して息をつく。
「まだ、舌入れてないだろ」
「だ……っだって、苦しかっ……っ」
「……気の済むまで、していいんだろ?」
「わ、わかってるわよっ」
 再び顔を近付ける彼に、リナは瞳を閉じる。
「ん……っ」
 やさしく抱き締められて、けれど容赦なく、深く唇を塞がれる。
 割り開かれて、その舌を絡め取られて。
「……っ……んん……っ」
 ゆっくりと口内を弄られる。
 かすかに漏れるのは唾液が交じり合う音。
 息苦しいほど、強く、深く――
「は……っん……!」
 一瞬放されて息をつきかけたリナの唇を、ガウリイはすぐさま角度を変えて塞ぎ直す。
 そしてその身体をやさしく強く、抱き締める。
「……ん――……っ」
 息苦しさからか、リナは彼の背中へまわした両手で、その服をきつく握り締めた。
 何度も重ねる角度を変えて、ガウリイはリナの小さな舌を弄ぶ。
「っふあ……っ」
 深く永い口付けからふいに解放され、リナは大きく息を吸った。
 つうっ、と、リナと彼の舌の先を、細い唾液の糸が繋ぐ。
「……もう限界?」
 荒く息を乱す彼女へ、煽るように微笑んで、ガウリイが問いかけた。
 顔を赤くして、リナは無理にでも息づかいを整える。
「ま……まだ平気っ」
「上等だ」
 言うなり、またガウリイは彼女の唇へ自分のそれを触れさせた。
「……ん……ぅ……っ」
 何度も舌を絡める。
 しがみつくように彼のシャツを握り締め、深く激しいキスを受け止める。
 こんなのは初めてで。
 強くめまいがして、何も考えられなくなっていく。
「っあ……っは、あ……っ」
 ぴちゃ、と口の外で舌を絡め合わせる。
 意識が堕ちそうになる。身体の中が熱くなって、腕に力が入らない。
「……ふ、あ……」
 もう何度キスされたかわからない――
 やがて唾液を滴らせて唇を放すと、リナは、ずる、とその場に崩れ落ちかける。
 それをガウリイの腕が受け止めて、しばし彼女は息を乱したまま彼に身体を預けた。
「――大丈夫か?」
 苦笑を浮かべ、ガウリイが腕の中の愛しい少女へ問いかける。
「…………だいじょぶくない……」
 すっかり力が抜けてしまったようで、しがみつきながら応えるリナ。
「な? やっぱ無理だったろ?」
 その身体をやさしく抱いて。
 耳元へと口付けながら、言葉を続ける。
「……次は負けないもん」
「楽しみにしてるよ」
 ぽつりと返った呟きに、ガウリイはそう言って笑った。


■ Comment ...

NGW2ndシーズン・ラストです。
今回はどうも甘さ控えめ(…デザートか?)のネタが多くなってしまったので、
やはり最後くらいは問答無用ないちゃいちゃを(笑)
単にキスしてるだけなんですが。・・・なんか喘ぎすぎててあだるてぃ(^^;

もともと、とある記憶喪失ネタのワンシーンとして書いておいた部分なのですが、
内容がまたちょっとダークにシリアスまっしぐらな話だったりするので
結局書かないままここだけ公開。単品用に加筆修正してありまスけれども。

なんかめっちゃ安直なタイトルつけてみましたが、 I.L. シリーズでもよかったかな。


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