戻る  ■ HAPPY × HAPPY ... February

「できたっ」
 あたしは今作り上げたばかりのそれを手にとり、一息つく。
 2・14――聖バレンタインデー。
 その午前中、アメリアの家のキッチンでのことである。
 せっかくバレンタインなんだから、とアメリアに押し切られて、昨日から彼女の家に泊まり込んでいっしょにチョコを作ってたのだ。
 こーいうのは、まぁ、その、ガラでもないんだけど。
 とはいえ、さすがあたしよね。なかなかおいしそうじゃないのよ♪
「なぁに、リナ。それタコ?」
「……アメリア……」
 とーとつに横から言われて、あたしは思わずジト目で睨む。
 …………そりゃ、そう見えないこともないけど……
「冗談冗談。クラゲでしょ? やっぱガウリイさんにあげるのね♪」
「ぎっ、義理よ義理っっ! 他にあげる奴いないんだから仕方なくっ!」
「わかってるわかってる♪ あーもー、らぶらぶなんだから♪」
「全然わかってないじゃないのよぉぉぉぉ!!」
「はいはい、グズグズしてないでとっととラッピングして渡してきたら?
 あとかたづけはわたしがやっておくから♪」
「ちょっ……ちょっとアメリアっっ」
 ぐいぐいと背中を押されて、あたしはキッチンを追い出される。
 仕方なく、あたしは隣の部屋のテーブルの上に用意してあった、箱と包み紙を手にとった。


 あたしが住んでるアパートの、あたしの部屋の隣。
 同じ一人暮らしで、あたしより6つ年上で、出会ってから3年くらいで。
 危なっかしいからとか言って、あたしの保護者を自称してたこともあったり。
 かと思えば、記憶力がゼロに近いクラゲ頭で。
 ……でもいっしょにいると安心できて。
 それから。
 …………………………あたしの、いちばん大切な、ひと。

「――ガウリイ」
 こんこん、とドアをノックする。
「リナか?」
 声と共にドアが開いて、ガウリイが顔を見せる。
「今、いい?」
「おう。別にいいけど」
 促がされるままに、あたしはガウリイの部屋の中に入る。
 ……夕飯とか、ときどきいっしょに食べたりするから、何度も来たことがあるんだけど。
 ひとついつもと違ったのは、テーブルの上に積まれた、キレイなラッピングがされた箱の山。
 あたしは思わず、自分の持ってたチョコの箱を後ろに隠していた。
「――で、なんだ?」
 いつもと変わらない笑顔で訊いてくる。
「……チョコレート……ずいぶんもらったんだね」
「あ? ああ、それか? なんかやたらとくれてさ」
「……ふーん……」
 なんだか面白くない。
「何なんだよ? あ、リナもくれるのか?」
「…………まっさか。あたしがチョコあげたりとかするわけないでしょ」
「……じゃ、これは?」
 ふいに腕をつかまれて、そのまま持ってたチョコの箱を奪われる。
「ちょ、それはっ! 返してよっ、自分で食べるんだからっっ」
 慌てて取り返すあたし。
「だいたい、そんだけいっぱいもらってれば、あたしの分なんていらないでしょーが」
「別にそんなこと言ってないだろー?」
 情けない声を上げるガウリイを無視して、あたしはチョコの箱を自分で開ける。
「……タコか?」
 横から覗き込むガウリイ。
「クラゲだもん」
 ぽそ、と応えて、あたしはそれを口に含む。
 ……ふーんだ。おいしいのに……
「なぁ、くれないのか?」
「知ーらーなーいー」
 あたしはひたすら自分でチョコを食べる。
「――ま、いーか」
 ふいにガウリイが小さく息をはいて。
 くいっ、と彼に引き寄せられる。
「リナごと食べればいいんだしな♪」
「……ふぇ?」


■ Comment ...

バレンタインネタ。
最後、しり切れとんぼ(死語?)ですが、結局ガウリイはリナごと食べちゃったということで続きはご自由に(笑)

一応、現代版は現代版で設定あったりするのですが、あまり明確には決めてないのでてきとーです(^^;
オフラインで描いてるマンガのほうとは微妙に違うんですけどね。


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