戻る  ■ 夢現回廊

 最近よく夢を見る――

「どうした? リナ。ここんとこ、おとなしいな」
 ハムとレタスのサンドをひと口かじり、ガウリイが声をかける。
 向かいの席で、リナは小さく息を吐いた。
「……なんかあんまし寝た気がしないのよ。こないだから」
 フレッシュ・サラダをフォークでつつきながら、そう言葉を続けるリナ。
 ぱくり、とプチトマトを口に放り込む。
「眠りが浅いのかな……
 夢、見てるような気もするんだけど……」
「……夢? どんな?」
「それがよく覚えてないのよね。
 起きると、なんかぼーっとしてて。身体がだるくって。
 たぶん、見るのはいつも同じ夢で……
 いつからだったか、もう忘れちゃったけど」
「疲れてるんじゃないのか?」
 ガウリイが、手を伸ばして、リナの頬に触れる。
 途端、びく、と、リナはわずかに身体を震わせた。
「……リナ?」
 訝しげに、ガウリイが名前を呼ぶ。
「あ、――うん。へーきよ。
 だいいち、今は疲れるようなしごととかしてないじゃない?」
 慌てて、リナはそう言って笑みを浮かべた。
「そうか? なら、いいが……」
 ガウリイがリナの頬から手を離す。
 それきり、二人は何も話さず、食事を続けた。

(……なんで……?)
 宿の部屋に戻ると、リナはベッドの上で、横になっていた。
 ここのところ、不意にガウリイに触れられると身体が反応する。
 なぜかは自分でもわからない。
 彼が自分に触れてくるのは前からあったことだ。
 特別、何かが変わったはずはない。
 あるとすれば――
(――夢?)
 そう――確か、夢を見始めた頃からだ。
 ぽふん、と枕に顔をうずめる。
 眠れた気がしないのに、昼間は横になっていても眠くなることがない。
 けれど夜になれば、すぐに寝てしまう。
 ゆっくりと、変わらぬ夢を見る。
 朝には忘れてしまう夢。
 それはいつまで続くのだろう。

 また夜が来る。
 ――そして今日も、夢は続く。

 気だるいまどろみの中、リナは寝返りを打った。
 始まる――
 意識のどこかで、そう思う。
 同時に、唇に濡れた感触。
 巧く息が吸えなくて。
 いつも、同じコトの繰り返し。

 指に、何かが絡む。
 無意識にそれを握り返した。

 覚えがある気もする。
 覚えがない気もする。
 はっきりしない。
 今は夢。
 でも、どこから? どこまで?
 それとも――

「……ん、……」
 ぼんやりと、視界の端に見えるのは。
 やわらかな――金色。

「………………」

 名前を呼びかけた唇は、――また、すぐに塞がれた。


■ Comment ...

小説ゴールデンウィーク2nd・その4でス。
ストーリーも何にもないですね(笑)

単なるリナの見てる夢の話ですが、まぁ本当に夢なのか、違うのか、
ナニをされているのか(笑)、そこらへんは謎とゆーことで。
いろいろ意味ありげな書き方はしてみましたが。
たまにはこーゆーのもいいかなと。

ちなみにタイトルは無限とか夢幻とかにかけていたり。
最初は「現夢」とかだったんでスが。


  戻る