戻る  ■ きっとずっと傍に在るように

「リザの実?」
 旅の途中で立ち寄った小さな村。
 何かお金になるような話はないかというあたしの問いに応えた露店のおばちゃんのことばに聞き慣れない名前を見つけてあたしは思わず訊き返した。
「知ってんのか?」
 隣でガウリイが訊いてくる。
 あたしは横に首を振った。
「たいていの薬草とか実とかのたぐいは知ってるけど……」
「そりゃ知らないだろうね。この辺でしか採れない実だよ」
 おばちゃんはそう言って、あたしたちの後ろを指さした。
「向こうに洞窟が見えるだろう? その一番奥に木があってね。そこに実がなるのさ」
「それでお金になるってのは?」
「その木は、何十年かに一度しかその実をつけないんだよ。それに薬にもなる貴重な実でね、飲めばどんな重傷の傷も治るそうだよ。その手の奴らに売れば、けっこうな高値をつけてくれるだろうさ」
 確かにそういう貴重なたぐいものは、そこそこ高く売れたりする。
「その実、今あるの?」
「ちょうど今年あたり実がなってるハズだよ」
 なるほどっ。そりゃ見逃す手はないっ!
「ありがとおばちゃんっ! さっそく行ってみるわっ」
 あたしが応えると、おばちゃんは一瞬顔を曇らせる。
「けどあそこは危険だよ。洞窟もだいぶ古いからね。あちこち崩れてるようだし…」
「だーいじょうぶっ♪ そういうトコのやつならなおさら金になるってもんよっ」
 おばちゃんの危惧に軽く応え、あたしはガウリイの腕を引っ張った。
「てことで行くわよ、ガウリイっ!」
「おうっ!」
 言ってあたしとガウリイは、洞窟のあるほうへと走り出した。



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